「細かいディティール」を突き詰める段階へ
まずは、日本についての彼らの印象。「フィジカルの高いチーム。スピードがあって瞬発力がある(ファン・フェルナンド・キンテロ)」「速く、フィジカルがあり、何より選手間が自動的な連係を築いてまとまっていう好チーム(アベル・アギラル)」となど語る選手が多かったのだが、ようはつまり、彼らの間にはヴァイッド・ハリルホジッチ前監督時代のサッカーの情報が伝わっているのではないかと推測される。
現在は西野朗監督のもとで、日本は急ぎチームの再構築を図っている。12日のパラグアイ戦を視察したカンビアッソ氏がどういう情報を持ち帰るのかは興味深いところだが、油断はなさそうだ。
「とにかくいい準備をして、初戦に集中して全力を尽くしたい。そうして1試合、1試合ごとに考えていく。それが我われのメンタリティーだ」とファルカオは言った。「具体的な日本対策は今週から計ることになるだろう」とクリスティアン・サパタは語っていたが、どれだけ詰めて来るかは怖いところである。
ではこれまでの練習では、彼らはどういうことに注力したのか?「細かいディテールについて練習をしている。実際の試合では、そういうところから差が出ることになるからね」とファルカオは語った。試合中のミスを潰すため、非公開にされた練習メニューに対策法を落とし込み、日々練習を重ねていたであろうことは分かる。
翻って日本だが、スイス戦で田嶋幸三会長が「1本のミスでも完全に崩される、点を取られるということが、W杯のレベルでは存在するということを理解しなければいけない」と口にしたときいた。それはもっともなことだが、対戦相手は単なる意識づけから一歩も二歩も先へ行って、念入りなトラブルシューティングを行なっている。1本のミスに関する意識の差が、19日の対戦で大きな違いにならないことを祈るばかりだ。
そして、グループのメンタリティ。「代表選手はみな試合出る力のある実力者。その結果選ぶのは監督だけれど、ベンチに回ることになれば全力でサポートするようなグループでありたい」と語る選手が一人や二人ではなかった。
単なる優等生発言かもしれないが、そういう意思統一が彼らの間にはできていることが分かる。連日出て来る選手の表情も穏やかで、かつ引き締まっていた。同じ監督のもとで6年間、互いのことは十分知り尽くしているはずの彼らが、落ち着いた環境でグループの結束を固めて、ロシアへと赴いた。日本代表は、果たしてこれをどうやって凌駕するのだろうか?
(取材・文:神尾光臣【カルナーゴ】)
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