「落選候補」から復活。自信と手応えを胸に
右サイドでアグレッシブさを見せ、乾の2点目の起点を作った武藤、後半途中から出てきてボールを収める能力の高さを今一度示した大迫を含め、FW3人が揃って多彩な役割をこなせることが分かったのも、この試合のプラス要素と言っていい。
岡崎であれば、1トップも2トップも問題ないし、パラグアイ戦で武藤が担ったような右サイドでのダイナミックな走りも披露できるだろう。大迫・武藤という2トップもあり得えるし、1トップで1人1人が攻守両面で体を張ることも可能だ。西野監督は1週間後に迫った本番を視野に入れ、誰をどう起用するのがベストなのかを模索し続けていくはずだ。
そんな中、過去2回のワールドカップに出た岡崎の感覚と経験値に頼る部分は少なくない。
「前回のワールドカップでいえば、コートジボワール戦は凄く暑くて、意外にヤヤ・トゥーレやディエなどのボランチが余裕でボールを持っていて、誰が行くのかというところの対処が少し難しかった。
今回、1つのベースはできたから、次はコロンビアを徹底的に分析することが、日本のひとつの武器になると思う。それを頭に入れたうえで、あとは選手個人の守備の行き方やチームとしてまとまるところをやらないといけない」と背番号9はブラジルで勝負の分かれ目になったポイントを改めて述懐していたが、その教訓を生かしながら、守備のスイッチ役を的確にこなしつつ、攻めに転じる迫力を出せれば、3大会連続ゴールは十分あり得そうだ。
今回はギリギリまで「落選候補」と言われた32歳の点取屋の復活が日本にもたらすものは少なくない。ここで得た自信と手ごたえを胸に、さらにコンディションを高められれば、決戦の地・ロシアで重要な存在となるだろう。
(取材・文:元川悦子【インスブルック】)
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