標高1200mの高地で効果的な調整
後半に入って乾の2得点で逆転に成功してからは、大迫勇也(ケルン)と2トップを組んで守備のスイッチを入れた。もちろん岡崎自身も無尽蔵の走りを見せられるわけではないから時に下がり気味の位置にとどまっている状況も見られたが、相手の運動量も落ちたこともあって彼がゴール前に出ていく回数は格段に多くなった。
その最たる例が後半24分の決定機。大迫がペナルティエリア右外から放ったシュートがGKに弾かれ、自身の目の前にボールが来た絶好のシーンである。これを侍ストライカーは惜しくもシュートミス。代表通算51ゴール目はお預けとなってしまった。
「あれはオフサイドだと分かっていたので気を抜いてシュートを打った」と本人は淡々としていたが、それでも決まっていたら気分的には違っていたはず。フィニッシュの精度を高めていくことは残り1週間の課題だろう。
結局、ゴールという目に見える成果は出せなかったものの、パラグアイ戦の岡崎の74分間はガーナ戦の31分間に比べるとはるかに動きがよくなっていた。6月2日に直前合宿地・ゼーフェルト入りした頃は左足首の状態が万全ではなく、体も重そうだったが、標高1200mの高地で全体練習意外の追加ランニングなどをこなしたことで、スムーズに走れるフィジカルを取り戻しつつあるようだ。
「もともとオーストリアのキャンプ、高地は苦手なんですよ」と彼自身も明かしたが、インスブルックも574mと標高がやや高い。そこでこれだけ走れたのならば、200m以下の低地であるロシアに行ってからは問題ない。武器である献身的な走りができれば、岡崎は間違いなく日本の戦力になれる。そのメドが立ったことは西野監督にとっても心強い要素だったに違いない。
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