岡崎慎司の復調がチームを活性化するか
実績No.1のベテランFWが復調すればチームに活力が生まれるし、大迫や武藤という他のFW陣にも大きな刺激を与えることにもつながる。実際、大迫はスイス戦途中交代の不完全燃焼感を抱えながら、次の出番を待ちわびているという。
「スイス戦の時は打ちどころが悪くて試合中に力が入らない状態だった。でも1日経って悪い状態じゃなかったし、今日も全部練習した。頭からでもいける状態です。この前は1トップで孤立気味で、それが改善できればしたいけど、そうなることもしょうがない。今までのワールドカップを見てもそういう状況だったし、覚悟を持ってやるしかない。第一に走ること、戦うことを前提にして、そのうえで戦術を言わないといけない」
少し前まで報道陣の前で無言を通していた背番号15は目をギラつかせていた。ハリルホジッチ時代の絶対的地位から横一線に戻ったことを自覚しつつ、彼は今一度、ガムシャラを強く押し出そうとしている。
それは、武藤にしても同じ。「格上の相手とやって、どれだけ泥臭くチームのために走れるか。かつセカンドボールに集中できるかが大事になってくる。FWである以上、1点を決める力を(大会が)始まる前に見せたいなと思っています」と10日の練習後に語気を強めていた。
熾烈な1トップ争いから抜け出して、コロンビア戦のピッチに立つのは、3人のうちの誰なのか。32歳のベテランFWが頭1つ抜け出すとしたら、ゴールという明確な結果を残すことが一番の早道なのは間違いない。
「点ももちろん取りたいです。そして日本がワールドカップで勝つヒントになるプレーを見せたい」と語る岡崎には、数字を積み重ねることで生き残ってきた代表キャリアの全てをパラグアイとの一戦にぶつけてほしいものだ。
(取材・文:元川悦子【インスブルック】)
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