医師は本大会へ“青信号”。最終決断は?
こうして3バックを中心とする守備が不安定な姿を露呈したばかりか、前半に見せたような迫力のある速攻は影を潜め、後半は攻撃の形をほとんど作ることができなかった。後半の頭から投入されたミリクも消えっぱなし。4バックで臨んだ前半と、3バックで臨んだ後半で、ポーランド代表はまるで異なる2つの顔を見せ、チリとのテストマッチを2-2のドローで終えた。
チリ戦でポーランド代表は、グリク1人を欠いただけで、およそ半年の時間をかけて整備をしてきた3バックが水泡に帰してしまう可能性を露呈した。前半に攻撃陣が爆発した4バックも、サイドからのクロスに弱い傾向を抱えたまま。先発のベドナレクは、チリ戦で代表戦出場が2試合目にして初のフル出場と、経験値が圧倒的に足りない。最終ラインが3枚でも、4枚でも、やはりグリクの存在は欠かせない。
チリ戦を終えた今では、レバンドフスキではなく、グリクこそがポーランド代表の最重要人物とさえ言えるかもしれない。本大会で攻撃陣が爆発したとしても、毎試合のように4点、5点は取れないだろう。守備が崩壊してしまえば、セネガル、コロンビアを相手に3、4失点を喫し、2連敗でグループ敗退が決まってしまうかもしれない。
11日、ポーランド・サッカー協会は、グリクがニースでパスカル・ボイレウ医師の診断を請け、医師が肩の状態の改善と試合復帰の可能性について“青信号”を出したことを発表。翌12日、グリクは再びワルシャワで代表に合流し、テストを経て、代表のドクターによってロシア行きの“最終決断”が下されるという。
(文:本田千尋)
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