西野朗監督、スタッフとメディアによる交流の場に姿を見せ…
ロシアワールドカップ本番の前哨戦と位置づけられた8日のスイス戦を0-2で落とした日本代表。これで昨年12月の韓国戦から5試合未勝利となった。
4月の監督交代の効果も思うように出ておらず、目前に迫った19日のワールドカップ初戦・コロンビア戦に向け、極めて厳しい状況に陥っているのは確かだ。
そんな重苦しいムードを払拭すべく、西野朗監督はスイス戦から一夜明けた9日のトレーニングをオフにし、半日の自由行動を選手たちに与えた。同日朝、ルガーノからバスでミラノに出て、チャーター機でインスブルックに戻った選手たちは、いくつかのグループに分かれて食事に出かけたという。とはいえ、ロシアワールドカップ本番が迫っていることもあり、大半の選手は早めにホテルに戻り、プールでリラックスしたり、ケガのケアをするなど体のメンテナンスに時間を割いていたようだ。
そんな中、コーチ陣やサポートスタッフは夕方から現地取材中の報道陣とミニサッカーに興じた。森保一、手倉森誠両コーチ、浜野征哉GKコーチ、早川直樹コンディショニングコーチ、関塚隆技術委員長らがアップをスタートさせる中、西野監督も「スタッフが来いと言うから」と遅れて姿を現し、楽しそうにボールを蹴っていた。
前日の完敗でメディアや日本のサッカーファンからの批判は高まる一方だが、そういうストレスや不安を一切感じさせず、つねに自然体でいられるのが、この指揮官の強みなのかもしれない。1日経ってすっかり気持ちを切り替えている様子だった。
手倉森コーチらが報道陣とミニゲームに熱中している間に、西野監督は1人黙って練習場を後にし、約2km先の宿舎までの道のりを歩いて帰ったという。その道すがらにも、10日以降のチームマネージメントをどうするか思いを巡らせていたに違いない。
この日も本来であれば、試合翌日はサブ組の練習試合や負荷の高い練習をするのが定石だ。が、あえてそれをせずに選手を解放し、リフレッシュさせるほど、指揮官はこの先のアプローチを考えあぐねているのかもしれない。そんな日本とは対照的に対戦国はこの日も本番を想定した練習を地道に行っている。日本がオフを取った影響がどう出るか、大いに気になるところだ。
12日のパラグアイ戦にはこれまで試合に出ていないメンバーを出場させる考えを示している西野監督だが、本番前最後ののテストマッチは戦術・メンバーともに固めて挑むべきという意見も根強い。選手側からそういう要望が出る可能性も否定できないだけに、10日以降のチームの動向が注目されるところ。いずれにせよ、残り1週間ほどの準備によってロシアにおける日本の命運が大きく左右されるのは間違いない。
(取材・文:元川悦子【ゼーフェルト】)
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