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日本代表 6年前

日本代表が底なし沼に沈む。スイスに完敗でW杯に不安、疑問ばかり残る西野流マネジメント

text by 元川悦子 photo by Getty Images

疑問が残る西野監督の「4週間」の使い方

「堅守のベースを作る」というこの日最大のテーマは前進こそ見せたものの、勝利という結果には結びつかなかった。加えて、攻撃面でも決定機らしい決定機はほぼ作れなかった。「厳しいなという一言ですね。これではワールドカップでは勝てない。スイスもいいチームですけど、この相手に得る程度やれなければ厳しい」とシャキリ封じに奮闘した長友佑都が悲壮感を露わにした通り、10日後にワールドカップ本番が控えているとは思えない完成度の低さを露呈した。

 これを深刻に捉えてしかるべきなのに、西野監督は「チームとして危機感ということは全く感じていません」と断言。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督を切って西野監督を招へいした日本サッカー協会の田嶋幸三会長も「やろうとするサッカーがだんだん見えてきた感じがする。コロンビア戦に向けて準備するという意味では10日で十分だと思っている」と信じがたい発言をしていて、ピッチ上の選手との温度差が如実に感じ取れるのだ。

 そもそも5月21日の国内合宿始動からの西野監督のマネージメントには疑問符がつくところが多々あった。コロンビア戦までは4週間しかなかったのに、最初の5日間は「疲労回復に充てる」と戦術面に一切タッチしなかった。

 全員が揃った翌26日からようやく戦術練習に入ったが、クローズアップしたのは3-4-3の導入だった。新布陣をモノにするために徹底的な刷り込みを図るのなら理解できるが、「あくまでオプションの1つ」という考え方には驚かされた。かつて1998年フランスワールドカップを率いた岡田武史監督も大会前に3バック導入に踏み切ったが、この時は新布陣の習得に直前合宿の大半を割く熱の入れようだった。結果的に日本は3戦全敗を喫したが、アルゼンチンとクロアチアには善戦を見せ、守備組織も大きくは崩れなかった。そこまでして初めてそれなりの成果が得られるのだ。

 5月30日のガーナ戦に3バックで挑んだ後、ゼーフェルトに来てからも4バックとの併用を求めて2つのシステムを行ったり来たりしている。そして今回のスイス戦、土台となるべき4バックで戦って2失点を喫した今も「固定したメンバー、固定したシステムでステージを上げていこうという形ではなく、いろんな可能性を求めたい」とまだ理想を追い続けようとしている。

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