W杯本番を想定した重要なテストマッチに
長谷部はトライの重要性を語りながら「久しく勝っていないので、勝つことはチームにとって大きな自信になるので、勝利を求めたい」と語っていた。高い位置から守備がはまり、攻撃ではうまくボールをつなげてゴールに結び付けば理想的だが、そうならない時にどうチームで意識を揃えていくかが重要になる。
長谷部とボランチのコンビを組む大島はスイスについて「まずはボールを失ったときの切り替えの早さで、そこでショートカウンターを仕掛けるところと、ビルドアップをしっかりやってくる印象はあります」と語り、そこでいかにボールを失わずに効率よく攻撃陣を生かしていけるかをイメージしている。
「プレッシャーは速いと思いますし、センターバックからの縦、縦のパスだと後ろが見えない状況にもなるので、そういったところよりかは、横からだったり、ひとつ飛ばして前向きでサポートするとか、そういった方がかっさらわれるシーンが少ないと思いますし、そこは全員で理解してやらないといけない」
たとえば日本がセンターバックのところでインターセプトできたとしても、安易にボランチにパスしてしまうとそこにプレスがかかってくる。ボランチの選手はなるべく少ないタッチで角度をつけたパスをスイスのプレッシャーがないエリアに送っていきたいが、時にあえて相手のプレッシャーを引きつけて自分のところでボールに触らず、より遠い距離にいる別の味方へのパスを周囲の選手に選択させることも求められる。
全体の攻守のバランスを中盤からオーガナイズするのはキャプテンの長谷部だが、組み立ての指標を作っていくのはむしろ大島の役割かもしれない。大島は積極的にボールを引き出して捌くイメージを持たれがちだが、実際は本人がボールに触らなくても攻撃を誘導していくことができる選手だ。最近は声も積極的に出しており、そうした意識も代表での存在感を高めている1つの理由だろう。
ディフェンスリーダーの吉田麻也も「ボランチはやっぱり大事ですよ。僕が個人的にはボランチがゲームを左右すると思っている」と語るように、中盤の中央はスイス戦では特にキーポイントであり、そこにトップ下の本田がどう絡んでいくのか。もちろん時間帯によって選手の組み合わせも代わりうるが、まずファーストセットの選手たちがスイス相手にどうトライして、変化し続ける展開にどう対応していくのかを見極めたい。
(取材・文:河治良幸【ルガーノ】)
【了】