日本の戦い方を決める重要な一戦に
日本戦ではフロイラーの他にもスペイン戦で出場機会のなかった選手たちをはじめ、ベンチスタートだったFWブレール・エンボロやFWヨシプ・ドルミッチといった様々な要求に応えられる万能型のアタッカーたちも、より長い時間の中で試されるはずだ。
そしてもう1つの注目点は、1トップの人選である。現在レギュラーとしてプレーしているハリス・セフェロビッチは2009年のU-17ワールドカップで得点王に輝き、スイスの優勝に貢献した将来を嘱望されるタレントだったが、肝心の決定力不足がトップレベルでの飛躍を阻んできた。
ポストプレーや献身的な守備での貢献度は際立つが、簡単なシュートを外して頭を抱えるシーンはワールドカップの欧州予選中も何度となくあった。スペイン戦では出番のなかったガブラノビッチが日本戦でアピールに成功すれば、本大会に向けて定位置奪取もありうる。本人も燃えているはずだ。
若手からワールドカップを複数回経験しているベテランまで、様々なルーツを持つ多様な選手たちを、ペトコヴィッチ監督は1つのチームにまとめあげた。単純な選手のクオリティや組織力だけでなく、チームとしても総合力でも日本が3月に欧州遠征で対戦して敗れたウクライナよりも数段上だろう。
ワールドカップを前に、ハリルホジッチ氏が残した最後にして最大の壁をどのように乗り切るかで、日本代表のロシアの地での戦い方が決まる。ブンデスリーガやセリエAといった欧州トップリーグのレギュラークラスをずらりと揃えたスイス相手の一戦は、チームの方向性を左右する重要な試合になるだろう。
(文:舩木渉)
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