危険なプレースタイル。日本の最も苦手な相手に
インサイドMFとして豊富に動きながら、中盤のあらゆる局面で高い攻撃センスを発揮するその姿は、マンチェスター・シティのベルギー代表ケビン・デ・ブライネに似ているという評価もある。
「技術は高いし、フィジカルにも持って生まれたものがある。このまま人格的な強さという面でも成長できれば、彼は新しいデ・ブライネになる」とサッリ監督も評している。
移籍市場の評価額はうなぎのぼりで、ナポリは近く契約を更新し、6000万ユーロ超える違約金条項を設定するとの噂だ。
ジエリンスキの万能ぶりは、当然ながらポーランド代表でも発揮されている。4-4-2のサイドハーフで突破を担わされると思えば、2ボランチの一角で組み立てと守備を任されることもある。そして最近は、トップ下を務めることが多くなっている。
アルカディウシュ・ミリクが健在の時はトップのロベルト・レバンドフスキから少し下がった位置でプレーし、チャンスメイクをしていた。だが彼が靱帯の故障で不在中だったワールドカップ予選の後半戦は、システムを4-2-3-1にした上でジエリンスキがトップ下として定着している。
3月の韓国戦では2シャドーの一角も務めていた。ポーランドを指揮するアダム・ナバウカ監督に、様々な戦術のバリエーションを提供する存在が、このジエリンスキだと言える。
そしてこれまで紹介した彼のプレースタイルは、日本代表にとってある意味レバンドフスキよりも大きな脅威となる可能性がある。
3月のウクライナ戦の失点シーンに表されるように、日本代表は中盤から飛び出してきた相手選手を捕まえ切れず、攻撃を喰らうシーンが散見された。集団でかけてきたプレスを一度のフェイントで空転させ、縦に展開しボールを運ぶスピードも速いジエリンスキのような選手は、言うなれば最悪の相手だ。
ヴァヒド・ハリルホジッチ前監督を解任する荒療治をとった日本代表だが、組織守備を改善した上で臨むことが出来るのだろうか。それが中途半端なら、ジエリンスキのパスやドリブルに切り裂かれることになる。
(取材・文:神尾光臣【イタリア】)
【了】
★W杯予選まとめはこちら★