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代表 6年前

日本にとって最悪な男、ジエリンスキ。危険度はトップ級、相手を切り裂くポーランドの脅威【W杯 日本を襲う猛獣たち】

シリーズ:W杯 日本を襲う猛獣たち text by 神尾光臣 photo by Getty Images

吹き飛ばした懐疑論。エンポリで開花した力が本物に

ピオトル・ジエリンスキ
ジエリンスキはエンポリでブレイクを果たし、ナポリへ移籍することになった【写真:Getty Images】

 現在につながる選手としての下地は、この時にできた。組み立てや守備など、戦術的なタスクをこなすためのプレーもきっちり叩き込まれる。そしてインサイドMFとしてのプレーをものにし、本来のトップ下と合わせて中盤ならどこでもプレー出来る選手へと成長したのである。

 その後サッリ監督はナポリに引き抜かれ、ジエリンスキはエンポリに残るが、チーム戦術をほぼそのまま継承したマルコ・ジャンパオロ監督のもとでブレイクを果たす。21歳にして不動のスタメンとなり、5ゴール6アシストと攻撃面での数字も残した。そして翌シーズン、サッリ監督に呼ばれてナポリへと移籍した。

 アルカディウシュ・ミリクと合わせ、経験の少ない若手を補強してきたことについて地元では懐疑論もあった。しかし、サッリの戦術を熟知していたジエリンスキは、すぐにナポリのサッカーに溶け込んで結果を出した。第2節のミラン戦、2-2の状態で投入されるやその直後に試合の流れを変える活躍をする。

 ジョルジーニョからのダイレクトパスを受けると、そばに付いていたリッカルド・モントリーボの背後をトラップ一発で取り、そのままドリブルで加速。40mを推進し中央へと切り込み、左サイドに開いていたドリース・メルテンスに正確なパスを送った。そのシュートのこぼれ球が勝ち越しゴールへと繋がり、以降ジエリンスキはベンチスタートでも、また先発起用からでも、確かな仕事をするようになった。

 彼の強みは、チームのリズミカルなショートパスの交換について行きながら、その流れを壊すことなく自在にアクセントをつけられることだ。

 ドリブルで急加速をして中盤のプレスをかわし、そのまま切り込むかと思いきや正確なミドルパスを放って逆サイドにいる味方を使う。走り抜けるFWへのスルーパスあり、かと思えば自らが裏のスペースへ走ったりと、実に多彩だ。

 さらに特筆すべきはシュート精度の高さで、ゴール前に走り込んでのボレーも、際どいコースを狙ったエリア外からの強烈なミドルもお手のものだ。

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