日本代表監督が日本人であるべき理由
ガーナ戦は新体制の初陣で、システムも今までやってきていない形だった。そうした中でいきなり結果を出すのはドイツやフランスみたいな強豪国だけ。今の代表が一番変わらなきゃいけなかったのは、ピッチで最高のパフォーマンスを出すための過程の部分。前体制では外国人監督のチームにおける難しさがモロに出たと思う。
不協和音というか、今の代表が一番変わらなきゃいけなかったのはそういう部分で、日本人同士でも通じ合えない時があるんだから。なぜかと言ったら、日本の選手が表に出さないから。一見、何の問題がないように見えても、いざ仕事(試合)になると、互いのプレーが合わず「なんだよ」という気持ちになったりする。どういう状態でもやらなきゃいけないのが代表だけど、やっぱり肉体を使って死に物狂いでやっているのにそこが合わないと苦しいよ。
日本ってどんなチームなんだ?というのが、ハリルさんの時は薄すぎた。日本人はその『どんな』が好きじゃない? 外国人選手は放っておいても各々でやる。例えば監督に何もプランがないとしても、選手は文句を言いながらも自分のプレーをやる。
でも日本はやっぱりグループだから。『これで行くの?』『こんな感じになっちゃうの?』となったままだと力を出しきれない。個人で放ったらかしにしてもダメだから。そもそも個では世界に勝てないんだから。向こうの方が身体も大きくてスピードもあるんだから。
だから、チームとしてどんな準備をしていくかだよね。どう戦うかを煮詰めて、思い切りパスワークで繋いで、『行ける』と選手たちに自信を持たせて、不安を取って舞台に乗っけてあげたい。
▽語り手:宮澤ミシェル
1963年7月14日、千葉県出身。Jリーグ黎明期をプレーヤーとして戦い、94年には日本代表に選出された経験を持つ。現役引退後は解説者の道を歩み、日本が出場した過去5大会のワールドカップを現地で解説している。様々なメディアで活躍。出演番組にはNHK『Jリーグ中継』『Jリーグタイム』、WOWOW『スペインサッカー リーガ・エスパニョーラ』『リーガダイジェスト!』などがある。
【了】