4年前のドログバを思い描き…
こうしたネガティブな声を一掃するためにも、ここ数日間の巻き返しは必要不可欠。同じポジションのライバルである乾や宇佐美貴史(デュッセルドルフ)よりも信頼のおける存在であることを、背番号10は西野監督に再認識させなければならないのだ。
「4年前の(ディディエ・)ドログバじゃないけど、彼が試合に入ったことでコートジボワールは生き返った。実績ある選手、経験ある選手が絶対に重要になってくると思います」と香川は当時36歳だった怪物ストライカーの姿を思い描いたが、確かにドログバが出てきただけで試合の流れは一瞬にして変わってしまった。
仮に香川がジョーカーとして起用され、それだけの絶大なインパクトを残してくれるのであれば、ファンもメディアも一切、文句は言わない。そういう状況に仕向けられるのは、自分自身のパフォーマンスしかないのだ。
直近のガーナ戦では後半開始からピッチに立ち、最初の10分間は目の覚めるような勢いと迫力を示した。が、そこで息切れし、残りの35分間はトーンダウンしてしまった。2月頭から90分フル出場していないため、体力的に厳しい部分があったのは確かだが、ここから先はもはや言い訳は許されない。ゼーフェルトでの高地合宿で徹底的にフィジカル面を追い込み、走力アップを図り、8日のスイス戦(ルガーノ)でハッキリとした成果を示せれば、ワールドカップ本番に希望が見えてくる。
「一番は香川真司として何ができるのか。それを常に示したい」と語気を強める男の覚悟が今こそ問われる。この日の満面の笑顔が本物の自信によるものだということを、結果で示してほしいものだ。
(取材・文:元川悦子【ゼーフェルト】)
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