跳んで、走れて、戦える。南米屈指の万能DFの進化
とはいえピッチ上での存在感は抜群である。身長195cmのジェリー・ミナは、ピケ(194cm)やセルヒオ・ブスケッツ(189cm)、アンドレ・ゴメス(188cm)を上回るバルサ内の最長身プレーヤーとなった。
スターティングメンバーに小柄な選手が並ぶことの多いバルサにおいて、その天を衝くような巨躯は異彩を放つ。スペインではビルドアップで周りとタイミングが合わなかったり、消極的になったりする場面も見られるが、それは「バルサだから」という注釈をつけなければいけないだろう。
もともとセンターバックとセントラルMFの2つのポジションをこなしていたジェリー・ミナは、195cmの長身という恵まれたフィジカルや空中戦の強さだけでなく、卓越した技術、パスセンス、スピードも高く評価されてきた。それらは南米屈指のレベルにある。
特にゴール前での存在感は圧倒的だ。他国に比べて体格で劣る日本代表の守備陣にとってセットプレーの場面で大きな脅威になるのは間違いない。2016年にはコロンビアとブラジルの2ヶ国のリーグ戦で合計7ゴールを叩き込んだ。
バルサは近年、先行投資的に南米出身のDFを何人か獲得してきたが、ほとんどがチームに適応できず期待されたほどの力を発揮できないまま忘れ去られていった。だが、ジェリー・ミナに関しては先行投資の意味合いもあるとはいえ、バルサにふさわしいポテンシャルや実績を備えている。
23歳にして自ら財団を立ち上げ、地元グアチェネを支援し続けている謙虚で心優しい青年は、ワールドカップの舞台でさらなる飛躍を遂げるかもしれない。
コロンビア代表にはトッテナムで活躍する21歳のダビンソン・サンチェスや、本田圭佑とチームメイトだったパチューカのオスカル・ムリージョやミランのクリスティアン・サパタといった実力派センターバックが揃っている。その中で競争を勝ち抜き、レギュラーの座を射止められたらジェリー・ミナがロシアワールドカップ初戦で対戦する日本代表にとって大きな脅威になるかもしれない。
(文:編集部)
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