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代表 6年前

“その存在が卑怯”。最高峰のDFクリバリ。日本の前にそびえ立つセネガルの『人間山脈』【W杯 日本を襲う猛獣たち】

シリーズ:W杯 日本を襲う猛獣たち text by 神尾光臣 photo by Getty Images

愛国心と同郷への思いやりを持つ豊かな人柄

 そのクリバリは、セネガル代表の中心選手としてW杯へ挑む。ナポリとは戦術は違うが、それで彼の脅威が半減するとも思えない。前述の通り、個人戦術という面でもその守備力は磨かれているからだ。

 近年日本のサッカー関係者の間でよく言われるようになった”デュエル”だが、本来はフィジカル的な体のぶつけ合いばかりではなく、相手に対する駆け引きも含めた1対1での競り合いを意味するものだ。今回W杯出場を逃したイタリアだが、この国には守備戦術面での卓越した指導ノウハウが残っている。それを吸って成長したのが彼なのである。

 クリバリ本人は愛国心と、同郷の人たちへの思いやりが豊かな人間である。イタリアには貧しい生活を送っているセネガル人移民も多いが、彼がこの冬、ナポリの街で信号待ちをしている車の窓拭きをしながら生活をしている同胞のために10着ほど上着を手配したということがニュースになっていた。

 それでいて、ヨーロッパの社会と教育はリスペクトできる人格者。在ナポリ・セネガル総領事館のイドリッサ・セネ領事は「クリバリは我われの大使で、統合の象徴」と期待を寄せる。

 まさに心技体を兼ね備えた『人間山脈』。日本代表のFW陣は、彼を乗り越えてゴールに向かうことができるのか。

(取材・文:神尾光臣【イタリア】)

【了】

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