コロンビアが整えた最高の環境。日本戦へすべてを捧げる
もちろん、全てが完璧だったわけではない。戦術上ではよく上がるサイドバックの裏のスペースからほころびが生じていたし、選手のコンディションにはばらつきも見て取れた。「故障や所属クラブでの事情からか、コンスタントに出場機会を得られていなかった選手もいる。選手全員の状態が良くなるにはまだ時間が必要で、もう少し待たなければならない」とペケルマン監督は語っていた。そのあたりを開幕までに解決できるかどうかは、たしかに彼らにとっての課題となるだろう。
ただそのための調整やトレーニングを、コロンビアは最良の環境を選んで行っている。彼らが合宿地として選んだのは、ミランの練習場であるあのミラネッロだ。芝の状態が良好なグラウンドが数面あるのはもちろん、室内トレーニング施設だけでなく、チームが丸ごと合宿を張れる宿泊施設まで備える。
そして何よりミラノの中心から30km以上離れた森の中で、外からも練習の様子は絶対に窺い知ることができない。「記者のカメラやファンの喧騒を離れ、落ち着いた環境でのトレーニングを望んだペケルマンの流儀だ」と、コロンビア人記者の1人は説明していた。
さらにこの合宿から、ペケルマン監督はなんとかつての愛弟子であるエステバン・カンビアッソを呼び寄せ、アシスタントコーチに仕立てた。練習では選手たちに経験に基づくアドバイスをまめに送っている。「僕らは日に日によりよくお互いを知り、ファミリーとしての結束を固めているんだ」とファルカオは語っていたが、実際連日の取材対応に出てくる選手たちは良い表情をしているのだ。
すべては大事なロシアワールドカップの初戦である日本戦に集中し、勝利をもぎ取るために。決定力が不足した今回の試合の結果をもって「コロンビアは恐るるに足らず」と甘くみれば、とんでもない間違いを犯す。
(取材・文:神尾光臣【イタリア】)
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