今見つけるべき「立ち返るもの」
普段やっていないポジションでプレーするとしても、選手同士のつながりや動き方から共通の画が見えていれば、短期間で十分にこなせるようになります。3バックを続けるのであれば、人選と立ち位置で攻守のつながりを作り、個性を生かせる人員配置を見つけ出すべきではないでしょうか。
3バックをベースとするなら、まずはブロックを作って守るいわゆる5バックなのか、ボールを奪いにいく3バックなのか、あるいはその両方を使い分けるのか。それによって人選も変わるはずです。メンバー構成や組み合わせを固めるとともに、その狙いをチーム全体で共有して、その上で微調整をして選手たちですり合わせる。そうすれば、3バックの熟成にはそれほど時間を要さないはずです。
選手たちに多くの判断を委ねてチームの方向性を調整していく時間は残されていません。今はとにかくベースとなる画を定めることが必要です。日本代表がこれから格上の相手と戦っていくうえで、自分たちの立ち返るものが明確に見えていて欲しいのです。“1つ”でもそれがあれば、相手が対応してきたら、それを超える他のものを派生させていく循環が生まれていきます。
その1“つ”もなければ、この短い時間の中では全てが中途半端になる危険性があります。それは、これだけ経験のある選手たちや西野監督はよく知っているでしょう。ガーナ戦を踏まえて、ヨーロッパに渡ったらチームとして立ち返るものも早急に作られていくことになるはずです。そうすると、チーム作りは一気に進んでいくのではないでしょうか。
(分析:岩政大樹、構成:編集部)
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