選手の構成と配置は適切だったのか
こうしたメリットとデメリットを十分に共有したうえでなければ、3バックは非常に難しいシステムになのです。同時にメリットとデメリットを理解した上で組み立てれば、格上の相手にも非常に有効な戦い方になりうると思います。
3バックで守備をする際、片方のウィングバックを中盤に上げて、もう片方のウィングバックと3人のセンターバックの4人がディフェンスラインを形成して、前線からプレッシャーをかけやすくする方法もあります。
実際に日本代表もガーナに先制された後、本田(圭佑)選手が少し前に出て大迫(勇也)選手らとともに高い位置からプレッシャーをかけようとして、原口選手も上がり気味にポジションをとりました。これによって空いた背後のスペースは吉田選手がカバーすることになりますが、彼が何度もサイドで守備をするのは、今の日本代表の構成上、決していい策だとは言えません。
このようにシステムと配置された選手の特徴や、チームとしての動きがマッチしていない場面が多く見られました。5バックになりやすい人選にもかかわらず、5バックになるのを避けようとする意識が強く、守備面で大きなリスクを負うことになってしまっていたように思います。
ワールドカップのグループステージ初戦、6月19日のコロンビア戦までに残された時間はわずかしかありません。実戦の機会もスイス戦とパラグアイ戦の2試合のみです。そういった時間のない中で、新しいシステムを形にするには、ある程度監督やコーチ陣から選手たちにベースの判断基準を伝えてチームの共通認識を作っていくことが必要になります。
【次ページ】今見つけるべき「立ち返るもの」