収穫の数々。国民も応援ムードに
この日ゲームメイカー役を担ったフェキルは、ジルー、エムバペをうまく使いつつ自分でも仕掛ける非常に良い動きで、63分にグリーズマンと交代したときにはスタンドから盛大な拍手が贈られた。
そしてトリッソは、この試合ではそれほど攻撃寄りの役割ではなかったが、なんとも気がきく人、という感じで、さっと入り込んでパスを受けてくれる器用さで絶妙な中継役になっていた。エンゾンジは、カンテの、小柄な体格を生かしてススっと入り込んでスルッとボールを盗む、というプレーとはタイプが違うが、どっしり感があって中盤底に安定感を与えていた。
両サイドバックはまだまだ彼らのベストコンディションではなかったが、メンディの、おちょくったようでピンポイントのパスはやはり効果的。
ふわっと高く上げたロブがゴール真ん前に落ちてきたりすると、それだけでCKゲットのチャンスにつながる。前半のエムバペのシュートチャンスのシーンも、メンディの逆サイドのパスを右SBシディベが受けてエムバペにトスした、昨年のモナコ・コネクションによるコンビプレー。ここにルマルが加われば、彼らのオートメーション化したオフェンスの脅威度はさらにアップする。
終盤は豪雨でピッチはプールのようになり、もう試合どころではなかったが、2-0という結果、そしてそれ以上に内容について、デシャン監督は「良い収穫があった」と満足げな表情を見せた。
「それぞれが意欲的にプレーし、お互いを補いあう動きができていた」。
もうひとつ収穫だったのは、ファンが期待感を抱けるチームを見せられたこと。試合中、スタンドでは何度もウェーブが巻き起こり、選手交代のたびに、退出する選手に温かいコールが贈られた。国民が応援ムードになっている、というのは良いサインだ。
次戦は6月1日のイタリア戦、そして本戦前の最終戦である9日のアメリカ戦を経て、フランスは16日の初戦、オーストラリア戦に挑む。
(取材・文:小川由紀子【フランス】)
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