アイルランド戦はW杯に向け最高のシミュレーション
試合は、フランスにとってはアイルランドよありがとう、と礼を述べたくなるような展開だった。
アイルランドは、9人が完全に引いて守り、ゴール前は人数をかけて固め、オリビエ・ジルーやキリアン・エムバペにボールが渡ろうものなら3~4人がかりで囲むという徹底的な守備体制で挑んできた。
ワールドカップ本戦のグループリーグでも、同組のオーストラリアやペルー、デンマークがドロー狙いでガチガチに守ってくる可能性は十分にあるから、そのシミュレーションができたことは大きな収穫だ。
この試合でも、キックオフから40分まで、フランスはひたすら華麗なボールハンドリングを見せつけつつパスまわしを続けたが、その間クリーンなシュートチャンスといえたのは31分にエムバペが抜け出してGKと1対1で打った1回くらい。
ところがその後、前半40分にジルーが、44分にフェキルが得点に成功した。1点目は右CKからのセットプレーから、2点目はフェキルのロングボレーと、どちらもタイトな守備を突破するには最適の方法だった。
後半戦の立ち上がりは、フランスはより積極的にゴールに向かって果敢にシュートを浴びせた。相手GKコリン・ドイルもよく守ったが、たとえ阻まれてもセカンドチャンスが生まれるし、シュートを打ち続けることでゴール前の守備体系が乱れてくるからその隙を狙える。
相手のカウンター後のクロスカウンターや、中盤でのボール回しに相手DFがつり出されてバックラインが手薄になった瞬間なども勝負どころだ。
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