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ザック時代に逆戻り。西野Jは“負けやすくなる”戦い方。真に目指すべき方向性とは?【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

日本にとってポゼッションを上げるのはかえって危険

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西野朗監督【写真:Getty Images】

 改善すべき細かいポイントは他にもある。ただ、それよりも全体の設計図そのものがこれでは難しく、再考を迫られていると思う。

 ポゼッションを安定させることはできるだろう。しかし、崩しのアイデアを共有できていないのでポゼッションを上げるのはかえって危険ですらある。さらに、相手のカウンターアタックに対する守備が弱い。ガーナ戦のプレーを推し進めても負けやすくなるだけだ。

 かといって5バックで引くのも上策ではない。あまりに引きすぎればミスが自陣近くで発生してしまう。ガーナの先制点は槙野智章のファウルで与えたFKを決められている。FWへの浮き球のパスに対してのファウルだが、セネガルはまさにああいったアバウトな浮き球のクサビを打ち込んでくる。引きすぎるとパワーで押し切られるリスクは高くなる。しかも日本は長い距離のカウンターを打てない。

 となると、もう打つ手は1つしかない。自陣ゴールから30~35メートルにディフェンスラインを設定し、コンパクトに守って奪い、ハーフカウンターを仕掛けること。ハイプレスは外されたときのカウンターに対処できないし、引き込めばパワーでやられる。日本は守備の主戦場を中盤に置くしかないわけだ。もちろん、これも高度なラインコントロールと中盤の組織的なプレスが必要になるので簡単ではないが、南アフリカワールドカップやロンドン五輪では短期間で形にした実績がある。

 残された時間はわずか。やれることの中で最も効果的なことをやるしかない。

(文:西部謙司)

【了】

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