デメリットよりメリット? 結果は本大会で
食事会場で言えば、それまでの横に長いテーブルに座って食べていたのが、今合宿からは円卓に変更されている。両隣の選手としか話ができなかった状況から、視界のなかにさまざまな選手が入ってくるそれに変われば会話も弾む。ピッチを離れても、ポジティブな環境が生まれている。
ここで、ひとつだけ不安が残る。情報戦略が熾烈を極める現代社会において、たとえば3バックを導入するという一報がコロンビアだけでなく、セネガル、ポーランド各代表にも伝わることで、グループリーグを臨むうえで不利益は被らないのか、と。笑顔で一蹴したのは吉田だ。
「そもそも(最初から)隠す気がありませんからね。(監督も)もう言っちゃっているし、いいんじゃないですか」
3月の国際親善試合でセネガル、ポーランドがともに3バックをテストしている情報は、すでに日本も把握しているはずだ。この状況に及んでは手の内をむしろ隠さないことが、4バックなのか、あるいは3バックなのか、という混乱をワールドカップ本番で相手にもたらすかもしれない。
第一カッターフィールドでの最終日となった28日、場所をガーナ戦が行われる日産スタジアムに移した29日は一転して非公開として緊張感を高めた。所属するアイントラハト・フランクフルトと同じく、3バックの中央を務めるキャプテンの長谷部誠は、チームの変化をこう表現する。
「雰囲気はやっぱり、監督が代われば変わりますよね。これまで自分自身、何回もクラブや代表で監督が代わっているので、監督が代わればピッチ内、ピッチ外でいろいろな部分でも変わる。日本代表チームとして、次のガーナ戦は日本中を巻き込んでやっていけるようなものにしたいと監督も話されていたし、それは選手みんなも感じていると思います」
西野流マネジメントは、現状ではデメリットよりもメリットのほうがはるかに上回っていると言っていいだろう。一夜明けた31日にはロシア大会へ臨む代表メンバー23人が正式に決まるなかで、26人の代表選手は「競争」と「共存」を絶妙なバランスで保ちながら、西野ジャパンの初陣にしてお披露目となるガーナ戦のキックオフを待つ。
(取材・文:藤江直人)
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