ロシアW杯でスターダムを駆け上がれ
とはいえ、DFキム・ジンスやDFチャン・ヒョンス、MFキ・ソンヨンといった本来は主力級の複数の選手たちが負傷によるコンディション不良でホンジュラス戦に出場できなかった。攻撃の柱と目されていたMFクォン・チャンフンはワールドカップに向けたメンバー発表直前のクラブの試合で大怪我を負い、ロシア行きを断念せざるをえなくなった。
そしてクォン・チャンフンの代役として期待されたMFイ・チョンヨンは、ホンジュラス戦で先発起用されたものの、所属するクリスタル・パレスでの出場機会の少なさゆえの試合勘のなさとコンディションの悪さを露呈した。
国民からの期待も低く、試合結果と裏腹にチーム状態も良くない。そんな状況下で“末っ子”のポテンシャルが、韓国代表の希望になるか。「がむしゃらな姿を見せてくれた」とシン・テヨン監督からの評価も高く、ワールドカップでソン・フンミンやファン・ヒチャンに次ぐ崩しのキーマンになっても不思議ではない。
ソン・フンミンはホンジュラス戦を終えて「ワールドカップではホンジュラスより手強い相手と戦わなければならない。ホンジュラスを見下しているわけではないが、今日の試合より3〜4倍の準備をしなければならない」と、チームメイトたちにさらなる奮起を促した。
「幼い頃から太極旗(韓国国旗)をつけてプレーすることが目標だった。サッカー選手としての最大のモチベーションだ。夢を叶えられて幸せだし、いいプレーも見せられて嬉しい。今日のようにロシアワールドカップでもプレーしたい」
早くもチームの中心になりつつある20歳の新星は、韓国代表デビューの喜びを噛み締めていた。このままいけば来月1日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦後に発表されるワールドカップ出場メンバー23人にも入るはず。ロシアのピッチに立ち、さらに一皮剥ければ、イ・スンウは数段飛ばしでスターへの階段を駆け上がっていくかもしれない。
(取材・文:舩木渉、取材協力:キム・ドンヒョン)
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