顕著だった精神面の成熟。1年前とはまるで別人
ホンジュラス戦は途中出場だったDFキム・ミヌは、イ・スンウについて「すごく明るくて、性格もいいし、もうこのチームに慣れたと思う」と、ムード作りに一役買っていることを明かした。さらにプレー面でも「あまり相手を怖がることなくプレーするところがすごくいい」と積極性を高く評価していた。
MFチョン・ウヨンも「本当に特別な選手だし、まだ若いけど素晴らしい。チームがいい雰囲気になる」と、イ・スンウがチームに加わったことによる効果を実感しているようだった。
そして驚いたのは、イ・スンウの風貌が1年前と全く違ったことだ。試合後の取材エリアに現れた彼は、髪を赤く染めて左側頭部に剃り込みを入れていた昨年のU-20ワールドカップ当時とは打って変わって、落ち着いた髪型で柔和な笑顔を浮かべていた。A代表では最年少にして、最も下の立場であることをわきまえ、それにふさわしい振る舞いを意識していることが見てとれた。
本人はその場で「試合の序盤は難しさもあったけれど、先輩たちと走りながら苦しさを克服していった」とデビュー戦を振り返った。さらに「僕は自分のゴールよりもチームに貢献したい。確かにゴールを決められず、惜しい場面もあったのは事実だけれど、僕ではなく他の選手がゴールできた」とホンジュラス戦の好パフォーマンスが自分の力だけによるものでないことを強調していた。
U-20ワールドカップでは「優勝が目標。調子は万全なので、ファンが望む内容を見せるだけ。とにかくゴールを決めたい」と豪語し、実際にゴールを奪うと3万5000人の観客の前で堂々とダンスを踊った。あのイ・スンウが、わずか1年間ですっかり成熟した大人の選手になっていたのである。
いま、韓国代表は危機的な状況にある。ホンジュラス戦では本大会仕様の布陣をベールに包んだまま終始ゲームのテンポをコントロールして、中盤をフラットに配置する4-4-2や、終盤には3人のセントラルMFを置く4-3-3を試した。選手間のコンビネーションの確認とコンディションの把握が主目的の試合としては成功と言えるものだっただろう。