代表初招集のイ・スンウ、背番号9でいきなり初先発
ある韓国人のサポーターは「今回のワールドカップは韓国代表史上最も期待が薄いかもしれない」と話していた。
確かに、28日に行われたホンジュラス代表との国際親善試合は、ワールドカップ直前とは思えない雰囲気だった。約6万6000人を収容する大邱スタジアムの客席には空席が目立ち、最終的に発表された観客動員数は3万3252人である。
これでも最近では多い方だそうだが、ロシアワールドカップ出場権を獲得する直前のアジア予選最後のホームゲームで記録した6万3124人には遠く及ばない。13年ぶりの大邱開催だったとはいえ、ワールドカップに向けた盛り上がりには欠ける。
だが、そんな空気を一変させるかもしれない希望が彗星の如く現れた。ホンジュラス戦のメンバーリストが発表された時、背番号9を与えられた若手の先発起用に記者室も一瞬どよめいた。シン・テヨン監督が抜てきしたのは、ワールドカップに向けてA代表初招集を受けた20歳の新星FWイ・スンウである。
ちょうど1年前、当時バルセロナの下部組織所属だったイ・スンウはシン・テヨン監督とともにU-20ワールドカップに出場していた。その大会の後、イタリアのエラス・ヴェローナへ移籍。今季はセリエAで14試合に出場して1得点を記録した。唯一のゴールを決めた相手は名門ミランだった。
初めての欧州主要トップリーグでのシーズンを終えて経験を積んだ20歳のホープは、韓国代表デビュー戦で鮮烈なパフォーマンスを披露する。ホンジュラス戦で最も大きな歓声を浴びていたのは、当然のように大スターのソン・フンミンだったが、2番目に大きな歓声を浴びたのは他でもないイ・スンウだったのである。
序盤から試合はスローテンポで展開するが、イ・スンウはキレのある仕掛けや周囲との細かなコンビネーションを駆使して果敢にゴールを狙った。韓国代表はワールドカップに向けた準備の初期段階という印象で、背番号をシャッフルし、システムもこれまでとは違う4-4-2を採用してコンディションや連係の確認を重視した試運転状態。その中でイ・スンウの存在感は異彩を放った。