青山の離脱で状況に変化。香川選外の可能性は?
それ以外の2枠がボランチなのか、2列目のアタッカーたちなのか、それともFW陣なのかはまだ定かではない。仮にボランチであれば、この2日間で一度も主力組に入っていない井手口陽介(クルトゥラス・レオネサ)がボーダーラインにいると目される。FW陣では武藤嘉紀(マインツ)と浅野拓磨(シュトゥットガルト)がその位置づけに該当する。
しかしながら、井手口は昨年8月のワールドカップアジア最終予選の大一番・オーストラリア戦(埼玉)で値千金のダメ押し弾を叩き出していて、ここ一番の爆発力がある。長谷部が最終ラインに下がったことからデュエルに強いボランチが山口蛍(C大阪)1人というのも、ワールドカップ本番を視野に入れるとやや不安が大きい。井手口を残した方がいいという判断もあるだろう。
武藤はこの1週間のトレーニングでベストコンディションであることを示しているし、浅野にしても井手口同様にオーストラリア戦での先制弾という実績がある。加えて言うと抜群のスピードで相手の背後を取れるという傑出した武器を備えている。そのようなタイプの選手も本大会の駒として必要かもしれない。
上記の3人から2人を削れない場合、次の候補としては2列目のアタッカーの誰かということになる。そこで一番危険なのが香川だ。4年前のブラジルワールドカップで絶不調に陥り、グループリーグ2戦目のギリシャ戦(ナタル)でまさかの先発落ちを経験した29歳の男にとって、ロシアワールドカップは絶対にリベンジを果たさなければならない因縁の大舞台だ。
「ロシアをキャリアの集大成にしたい」とこの4年間、口癖のように言い続けており、2度目のワールドカップへの尋常ならざる思いがあるはずだ。エースナンバーである「10番」を背負い始めてから足掛け8年が経過したが、この番号に相応しい活躍も十分にできていない。そんなネガティブな要素を全て払拭するためにも、ロシアワールドカップへの挑戦権だけは逃すわけにいかないはずだ。
とはいえ、今のままでは厳しいのは確か。コンディションとパフォーマンスの両方を劇的に上げられるという確証がない限り、西野監督の信頼を取り戻すことはできない。残されたアピールの時間は3日間しかないが、かつての輝きの一端を示すことができれば、最悪の事態だけは回避できる。果たして香川真司は最終メンバーリストに名を連ねることができるのか。ガーナ戦までの動向を注視したい。
(取材・文:元川悦子)
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