キレのない香川。このままでは落選も
実際、この1週間のトレーニングを見ても、2月から5月まで3ヶ月も公式戦から離れた影響か、切れ味鋭い崩しやゴールに迫る勢いがあまり見られず、シュート練習でも枠を外すシーンが目立った。27日のゲーム形式の後には西野監督が香川を呼んで何やら指示を出していた。どうやら指揮官は香川のパフォーマンスに納得していない模様だ。
ゲーム形式ではサブ組が4-2-3-1や、アンカーを置いた4-3-3、中盤をボックス型にした4-4-2なども試していたが、香川が入ったのは左インサイドハーフか左MF。トップ下に陣取ったのは本田で、西野監督も彼をどう使うべきか答えを見つけられていない様子が色濃くうかがえた。
「MFの選手でも、前線で2トップ、3トップ、1トップとポジションも変わってくる。バランス的にいろいろありますが、対応力が間違いなく求められる。ポリバレント(ユーティリティ)な能力を持った選手がこのリストの中にもいる」と指揮官は18日のメンバー発表会見でも万能型プレーヤーの必要性を強調していたが、香川は他のアタッカー陣に比べるとポリバレント性が低い。
宇佐美であれば左右のシャドーに加えて、2列目の全ポジションや2トップの一角にも入れるし、原口はそれに加えてボランチや右ウィングバック、右サイドバックでもプレー可能だ。本田は8年前の南アフリカワールドカップを振り返っても分かるように、1トップでも大きな仕事ができることを実証しているし、乾にしても左ウィングバックをこなせる。スピーディーなドリブル突破という絶対的な武器を持つ彼はジョーカーにもなりうる貴重な存在だ。
前任者のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は中島翔哉(ポルティモネンセ)にその役目を託そうとしたが、西野監督にとっての切り札は乾なのだろう。ケガも順調に回復し、27日には対人メニュー以外の全体練習をこなせるところまで来ているため、負傷による落選はやはり考えられない。
31日の最終メンバーに生き残るのは23人。すでに青山敏弘(広島)が右ひざ負傷で離脱しているため、絞られるのは3人だ。その最右翼がゲーム形式の練習から外れる回数の多い三竿健斗(鹿島)。彼が非常に厳しい立場にいるのは周知の事実だ。