想定とは大きく異なったベースキャンプ地
当時、日本サッカー協会の原博実技術委員長(現・Jリーグ副理事長)が後に「シーズンをフルに戦った欧州組はもう少し休みを与えた方がよかった」と発言していたが、それは多くの選手・日本人スタッフが感じていたこと。
「指宿では本当に物凄く走ったし、米国でも全ての練習にフィジカル的な要素が盛り込まれていて、試合前も負荷が下がることは全くなかった。『これがザッケローニ流なのかな』とは思ったけど、僕らもJとACLを戦っていたし、ちょっとやり過ぎじゃないかなと感じることは正直、ありましたね」と大久保も率直な感想を口にしていた。
それが本大会の低調なパフォーマンスの一因になったと見る向きも根強い。今月21日から始まった西野朗新監督率いる新生・日本代表のトレーニングが非常に軽めの内容からスタートしたのも、前回の反省を踏まえてのことかもしれない。
2つ目のミスはベースキャンプ地をイトゥに置いたこと。「サンパウロから近い割に静かな環境で、試合会場であるレシフェ、ナタル、クイアバの移動もスムーズ」というのが選定理由と言われた。
しかしながら、3会場へは片道5時間もかかる距離。選手たちの移動負担は非常に大きかっただろう。加えて、涼しいイトゥと猛暑の3都市とは気象条件が違いすぎた。
顕著な例が6月24日の最終戦・コロンビア戦だった。22日夕方に肌寒いイトゥでトレーニングを行った日本代表は翌23日朝に移動し、試合前日の昼頃にクイアバ入りした。ところが、内陸部にあるこの地は気温35度を超えるような暑さ。15時過ぎからの公式練習にやってきた選手たちは明らかに驚いていた。
試合当日も同じような猛暑が続き、日本代表は早い時間帯に足が止まってしまう。その結果が1-4の惨敗だった。日本にはハメス・ロドリゲス(バイエルン)ら以外にも難敵が存在していたのである。