攻撃を意識した守備。W杯で勝つために
最後の3つ目はすべてが「ボールを保持する時間を長くする」に通じている、という考え方を共有することだ。ハリルホジッチ前監督が描いたコンセプトとは対極の位置にあるが、だからといって4年前のブラジルワールドカップで喫した惨敗とともに粉砕された、いわゆる「自分たちのサッカー」を復刻させるわけでもない。
ロシアワールドカップへ向けた強化策の一環だった昨年11月のヨーロッパ遠征で、日本はブラジル代表に1‐3、ベルギー代表には0‐1と優勝候補国に連敗した。その際に覚えた違和感が、マリ代表と引き分け、ウクライナ代表には1‐2のスコア以上の実力差を見せつけられた今年3月のベルギー遠征で増幅したと槙野は神妙な表情で振り返る。
「自分たちがボールを保持する時間が、間違いなく短かったですね。相手に押し込まれる時間帯が続いたなかで、味方のボランチがスライドする距離も長くなってしまった。いざ自分たちのボールになったときに、やっぱり疲労という点でボールを保持する時間がなかったので、まずはボランチの選手たちができるだけ、最終ラインに吸収されないようにすること。
あとはトライアングルとよく言われますけど、ボールを持っている味方に対して常に2人以上がサポートできるように、ボランチの選手が近い距離にいることが一番大事かなと思っています」
グループリーグを突破するうえで極めて重要なウェイトを占める、6月19日の初戦で対峙するコロンビア代表の前線には、左ひざの大けがから復活を果たしたラダメル・ファルカオ(モナコ)、そして前回大会の得点王ハメス・ロドリゲス(バイエルン・ミュンヘン)が脅威を放つ。
ワールドクラスの2人に2人のセンターバックで対峙すれば、異次元のストレスを感じるはずだ。長谷部を余らせる3バックで臨む形は理にかなっており、強力アタッカーのフアン・クアドラード(ユベントス)が右サイドから仕掛けてくる状況を踏まえれば、3バックでも対応が難しくなるかもしれないのである。