サラー交代で流れを手放したリバプール
そして、リバプールにとってもサラーの交代は大きな痛手となった。立ち上がりからGKのロングフィードによってスタートするゲーゲン・プレッシングが発動するなど、自らのペースに持ち込むべく高いテンションで試合に入ったが、サラーが退いた31分から徐々に流れを手放していった。
試合開始から31分までのスタッツを見ると、ボール支配率は42.7%(リバプール):57.3%(マドリー)ながら、チャンスメイク数では6回:1回、シュート本数は9本:2本と上回る“クロップのチーム”の数字を記録していた。
しかし、31分のサラー交代後からハーフタイムまでのスタッツを見るとボール支配率は17.8%:82.2%と大きく下がり、チャンスメイク数は0回:5回、シュート本数でも0本:5本と何もできなかったとも言える状況となっていた。
サラーの交代で流れがマドリーへ傾いた段階で、前半を無失点で終えるという意識が働いたことで守備のスタンスが前ではなく後ろに引っ張られてしまった。この時点で、リバプールにとってこの試合は“いつもの戦い方”ができないものとなってしまったのかもしれない。
後半に入ると、51分にはGKカリウスが転がそうとしたボールがベンゼマの出した足に当たり、そのままゴールへ。カリウスは、その前のプレーでベンゼマのオフサイドを主張していたが、それ以前にあまりにも軽率で粗末な行為だった。
ただ、まだこの時点ではリバプールにも希望があった。55分に同点ゴールを決めたもう1人のウインガー、サディオ・マネは90分を通してのパフォーマンスで見ると、この試合でのベストプレイヤーだった。
マネは、左右両サイドで何度も突破力を発揮。マネがドリブルを開始すると、マドリーは2、3人で付いても止めることができなかった。さらにDFラインの裏に抜ける動きでも得点の可能性を感じさせる場面があった。