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CL決勝展望。優勝のためにポゼッションを放棄せよ。リバプールを封じる、ジダン監督の奇策とは?

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

ジダン監督の采配はいかに

 このようにCL決勝戦はお互いにポゼッションを放棄し、カウンター主体のサッカーを展開してくることは容易に想像がつく。そのため攻守が素早く入れ替わり、スピード感溢れるゲームになることが予想されている。

 レアルが少し工夫を加えてくるとすれば、引いてリバプールにボールを持たせるという形だろうか。

 ジネディーヌ・ジダン監督は大舞台でも奇策を用いてくる指揮官だ。レアルは強力な攻撃陣にばかり目が行ってしまうが、セルヒオ・ラモスやラファエル・ヴァランを中心とした守備陣が守りに徹底した場合は強固な最終ラインを築くことも可能である。

 リバプールは引かれた相手に対して攻めあぐねるという光景がしばしば見受けられるため、そうした弱点を突くためには、ジダン監督が守りを徹底させるやり方を大舞台で用いてくる可能性も否めない。そうなった場合、リバプールは相当な苦戦を強いられてしまうだろう。

 仮にリバプールが引いて守ろうとしても、それほど屈強ではない守備陣がどこまでそれを保てるかというのは課題になってくる、ビルフィル・ファン・ダイクは安定しているものの、デヤン・ロヴレンはやや不安定だ。最後は個の能力がメインの話になってしまったが、奇策を用いるのに適しているのはレアルの方であり、リバプールはそれまでのやり方を変えず真っ向勝負を挑むのが一番だろう。

 お互いに勝利のためにポゼッションは必要ない。ボールを持つ時間が長くなればなるほど、相手にチャンスが巡ってくる機会が増えてしまうというのは、ここまでで十分わかっていることだ。

 レアルの3連覇か、リバプールが2004/05シーズン以来の優勝を飾るのか。舞台はウクライナ・キエフ。勝利の女神はどちらに微笑むだろうか。

(文:小澤祐作)

【了】

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