西野監督が3バックの導入を明言
逆に攻撃の比重が高かった2006年ドイツワールドカップ、2014年ブラジルワールドカップの日本は大量失点を喫している。前者は初戦・オーストラリア戦(カイザースラウテルン)での3失点を皮切りに合計7失点。後者も6失点を食らい、どちらもグループ最下位に沈んだ。この経験則からも分かる通り、西野ジャパンには「失点を最小限に抑えられる堅守」を3週間で作り上げることが強く求められるのだ。
「やることをシンプルに伝えたいと思います。そのうえで、いろんな形にも対応していかなきゃいけない。システムも人も変えていかないと戦えないのがワールドカップ。3バック? それも考えてます」と新指揮官は従来の4バックに加えて、3バックの併用も断言した。
とはいえ、2つのシステムを使いこなすことはそう簡単なことではない。しかもこの緊急事態である。だからこそ、クラブでの3バック経験が豊富なキャプテン・長谷部が舵取りの多くを担う必要があるのだ。
実際、西野監督もフランクフルトのやり方を長谷部に聞いて策を練っている様子。同クラブのニコ・コバチ監督は2016年3月の就任時から守備再構築に乗り出し、ドイツ・ブンデスリーガ2部降格の危機に瀕していたチームを短期間で立て直した。そのアプローチは今の日本も大いに参考になりそうだ。
「個人的には3枚でやっても4枚でやっても対応できると思いますし、試合の中でメンバーを変えずに前と後ろを入れ替えるようなオプションも増えると思います。単に3バックと言ってもやり方が違うので、チームでやっているやり方とここで考えているやり方が一緒かと言われれば違う部分もある。そのへんは周りの選手としっかりコミュニケーションを取ること。一番大事なのはコミュニケーションだと思います」と長谷部も話した通り、選手同士がどこまで密な連係を取っていけるかが成否のカギになってくる。
長谷部同様、自身もサウサンプトンで3バックの中央に入っている吉田麻也も力になれる部分は大いにある。本人は「3バックなのか5バック気味なのかによっても変わってくる」と手探り状態であることを明かしたが、長谷部をサポートしながら、チーム全体を取りまとめていくだけのリーダーシップは十分に発揮できるはず。