サッカーの母国も改革に乗り出している
歴史をさらにさかのぼっていけば、グループリーグ最下位で敗退という惨敗を喫したユーロ2000を契機として、ドイツサッカー界を挙げて取り組んだ育成の大改革に行き着く。有望選手をくまなくピックアップするチェック網を全国に構築し、そのなかから厳選されたエリートを、高校生年代以降は各クラブで育て上げるためにアカデミー組織を充実させるように厳命した。
その結果としてフィリップ・ラームやルーカス・ポドルスキ(現ヴィッセル神戸)が頭角を現してきたことを受けて、ブンデスリーガの外国人枠撤廃とドイツ人枠採用を同時に導入した。ドイツの復活はイコール、全国規模の育成体制の整備・発展を抜きには語れない。
一方で外国人枠を設けていないリーグの代表格となってきたプレミアリーグでも、2010/11シーズンから「ホーム・グロウン・ルール」が導入されている。トップチームの登録人数を25人以内としたうえで、21歳の誕生日を迎えるシーズン終了までに3シーズンもしくは36ヵ月以上を、イングランドおよびウェールズのチームでプレーした選手が最低8人を数えることと義務づけた。
2009年のボーンマスとアーセナルの一戦で、イングランド出身選手が両チームともゼロだったことが問題視された結果として「ホーム・グロウン・ルール」の導入が決まった。8人の選手の国籍は問われないが、さらにイングランドサッカー協会(FA)は2014年から、『イングランドDNA』と銘打たれた育成年代の大改革にも着手している。
ドイツ代表や躍進著しいベルギー代表の後塵を拝している、という状況を受け入れたうえで、サッカーの母国の伝統をいい意味で残し、そのうえで攻守両面においてイングランドらしさを出すためにはどうすればいいのかを、FAだけでなく国を挙げて取り組んできた。