幾度となく議論されてきた外国人枠問題
Jリーグが外国人枠を撤廃する方向で検討に入った、と一部スポーツ紙で大々的に報じられたのは、ワールドカップ・ロシア大会へ向けて西野ジャパンが千葉県内で始動した直後だった。
唐突なように映るが、Jリーグ内では幾度となく俎上に載せられては、時期尚早という理由で見送られてきた長年の懸案事項でもあった。実際、2016年秋にはJクラブの代表取締役で構成される実行委員会の席上で、実質的な外国人枠撤廃となるこんな素案が提示されている。
「日本人選手を15人以上保有していれば、それ以外のすべての選手が外国籍選手でもいい」
このときは議論百出の末、登録人数を1チーム5人以内とし、そのうえで「外国人枠3人+アジアサッカー連盟(AFC)枠1人+アジア中心のJリーグ提携国枠1人」と、1試合につき最大5人の外国人選手がプレーできる、今シーズンも継続されている方式が最終的に採用された。
アジア中心のJリーグ提携国の対象はタイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、マレーシア、イラン、カタールの8ヵ国でオーストラリアは含まれていない。J1で活躍中のタイの英雄、MFチャナティップ(北海道コンサドーレ札幌)は外国籍選手とは見なされない。
新たな方式に関して、Jリーグの村井満チェアマンは「この決定が最終的なものではない」と断ったうえで、外国人枠に関する将来的な展望をこう語っていた。
「今後は世界の趨勢を見ながら、拡大・緩和させていくことも議論していきたい」
外国人枠は貿易における「関税」にたとえることができる。自国の産業が発展していない状況を考慮し、外国製品に高い関税をかけて輸入量を抑える考え方は、いままさにアメリカのトランプ政権が日本を含めた各国に対して実践に移している。