強靭なDFラインながら、付け入る隙はあり
コロンビアの最大の強みはペケルマン監督であり、長期政権で選手の特徴を知り尽くしていること。主力だけでなくリオ五輪のエースだったボルハや経験豊富なグティエレスといったカードを試合展開や時間帯で活用してくる。
逆に西野監督が3枚の交代カードをどう使っていくかが勝負のカギになる。ペケルマンVSハリルがペケルマンVS西野になった形だが、指揮官が言うところの“アグレッシブ”に挑んでいくしかない。
コロンビアのディフェンスは一人一人が強く、基本的な連係もしっかりしているが、ウィークポイントが無いわけではない。1つはバイタルエリアに入られた時にCBの2人が揃ってボールにプレッシャーをかけ、そこにSBが付いていかずにラインのギャップが生じやすいこと。例えば大迫がラインの少し手前でボールをキープすれば、周囲のアタッカーが斜めから裏を突くシーンは生み出せる。
もう1つは、コロンビアのディフェンスは相手ウィングが両ワイドに張ってきた時に1人がDFラインに下りて5枚にする傾向があるが、その時に下りた選手と本来のDFラインの呼吸が取れておらず、フランスにもそこを突かれて失点している。その時は右SBのアリアスと右ウィングから下がったウリーベの間にサイドから入り込まれた。
そうしたシチュエーションを考えると右サイドはゴール方向に切り崩せる宇佐美貴史を起用すれば相手SBに混乱を引き起こしやすいが、時間帯によっては浅野拓磨や久保裕也の起用が有効になってくる。特にファブラという左SBの選手はこうした局面でポジショニングが曖昧になりやすいので突き所だ。
逆に右SBのアリアスは守備能力に優れた選手だが、アタッカーにタイトに行くあまりCBとラインを揃えるタイミングを誤ることがあり、原口元気がそこを狙っていくことも可能だ。時間帯によっては武藤の投入も面白い。
とにかく90分の駆け引きが3試合の中でも最も生じうる相手であり、スタートのメンバーだけでなく、ベンチが高い集中力をもって臨んでいく必要がある相手であることは間違いない。
(文:河治良幸)
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