西野監督に求めたい決断力
このように、岡田監督が超守備的布陣へのシフトを決断した5月末からカメルーン戦勝利までは2週間強しかなかった。最終的なスタメンが固まったのも4日前だった。そんな突貫工事でも結果を出せるのが、短期決戦のワールドカップ。そういう意味では、21日から直前合宿をスタートさせた西野ジャパンもまだ一発逆転の可能性があるということだ。
新指揮官が岡田監督から学ぶべきことがあるとすれば、まず「日本は弱い」という現実をしっかりと直視し、守備重視の戦い方に舵を切ること。今回の日本はカメルーン、オランダ、デンマークと同組だった8年前以上に厳しいグループに入っている。それを強く認識して、2010年以上に守りの意識を強めて戦うことが成功への近道と言える。
「自分たちのスタイル」「日本らしいサッカー」などという理想を追いかけていたら惨敗もありえる。それを今一度、強く頭に刻み込むことが肝要だ。
もう1つはコンディション重視のメンバー起用である。最終的に岡田監督が松井・大久保・本田という3トップに落ち着いたのは、前述の通り、心肺機能の数値が非常に高かったからだ。今回は南アのような高地での大会ではないものの、走れる選手を起用しなければ技術・戦術的に優れた相手を倒すことはできない。
西野監督は「実績」「経験」「ポリバレント」という3要素を重要視している様子が伺えるが、コンディションが悪ければその3要素は意味をなさない。体調が上がらなければ岡崎や香川真司(ドルトムント)でも外すくらいの非情な決断ができないと、ワールドカップでの成功は得られない。
西野監督には従来の曖昧なスタンスを改めハッキリした決断を強く求めたい。
(取材・文:元川悦子)
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