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日本代表 7年前

10年南ア大会。「日本は弱い」超守備戦術で16強。”本田1トップ”に見る西野Jへのヒント【日本代表W杯の記憶】

シリーズ:日本代表W杯の記憶 text by 元川悦子 photo by Getty Images

適応困難な高地。本田1トップ導入の経緯

本田圭佑
本田の1トップ起用はコンディションを重視した結果、生まれたものだった【写真:Getty Images】

 中村俊輔を外して阿部を入れ、GKを楢崎正剛(名古屋)から川島に入れ替え、さらにキャプテンを中澤から長谷部に変えるという大胆采配はリスクもあったが、結果的に奏功し、岡田監督も安堵感を浮かべていた。

 続く6月4日のコートジボワール戦(シオン)でも同じ先発。0-2で敗れたが、守りの方は何とかやっていけそうな雲行きにはなった。この試合で今野が負傷したのは想定外だったが、そういう時に確実に穴を埋めてくれる駒野友一(福岡)が控えていた。それも岡田ジャパンの幸運と言っていい。

 右サイドバックは最終予選から内田篤人(鹿島)がレギュラーだったが、守備的戦術へのシフトによって彼の守備力の課題がよりクローズアップされることになった。加えて内田は過去1年間、原因不明の体調不良に苦しんだというマイナス要素もあり、岡田監督は自ら抜擢した22歳の高き才能を起用する勇気を持てなかった。

 そういうコンディション面に不安を抱えた選手を次々と外したのも、指揮官の英断だった。内田を筆頭に、サースフェーの高地合宿で心肺機能の数値が芳しくなかった中村と岡崎も「スタメンは難しい」と見切りをつけられた。逆にケガで出遅れた松井大輔(横浜FC)の数値が飛躍的に向上しているのも見逃さなかった。

 コートジボワール戦まで「1トップに岡崎、右FWに本田」という配置にしていた岡田監督が、6月6日から南アフリカのベースキャンプ地・ジョージ入り直後から「1トップに本田、右FWに松井」という並びに変えたのも、コンディションを重要視した結果だったのだ。

 その全貌が明らかになったのが、10日のジンバブエとの練習試合。当初はモザンビークとテストマッチを行う予定だったのだが、8日深夜に「こちらの都合で試合ができなくなった。ジョージには行けない」と連絡が入り、急きょ組まれた最終調整の場だった。

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