韓国戦敗戦で危機的状況に
本番2ヵ月前のヴァイッド・ハリルホジッチ監督解任と西野朗新監督の就任という異例の事態に直面している2018年ロシアワールドカップの日本代表。過去5回の本大会のうち現状に最も近かったのが岡田武史監督(現・FC今治代表)率いる2010年南アフリカワールドカップの代表だ。
彼らが2010年5月24日の壮行試合・韓国戦(埼玉)に0-2で敗れ、危機的状況に陥ったのはサッカー界では知られた話だろう。その8年前を振り返ってみると、朴智星擁する相手に技術・戦術・スピードなど内容面でも惨敗。
絶対的司令塔の中村俊輔(磐田)は「今まで積み上げてきたものが消えてきてる。相手のカウンターを怖がってるから連動性もなくなってる」と深刻な状態であることを吐露した。
岡田監督も日本サッカー協会の犬飼基昭会長(当時)に進退伺を申し出たほど、チームは空中分解寸前だった。翌日の練習後、指揮官は「僕は選手を決めて、預かって、ついてきてくれているのに、投げ出すつもりは絶対にない」と改めて気合を入れ直したが、具体的な改善策はまだ見出しきれていなかった。それが定まったのが、26日からのスイス・サースフェーでの事前合宿だった。
「俺たちは弱い。その現実にしっかりと目を向けて戦わないといけない」と田中マルクス闘莉王(京都)が口火を切った選手ミーティングで超守備的戦術へのシフトが話し合われ、岡田監督も合意。基本布陣を4-2-3-1から阿部勇樹(浦和)をアンカーに据えた4-3-3に変更する方向へと大きく舵を切ったのだ。
新布陣の一発目だった5月31日のイングランド戦(グラーツ)は、GK川島永嗣(メス)、DF(右から)今野泰幸(G大阪)、中澤佑二(横浜)、闘莉王、長友佑都(ガラタサライ)、アンカー・阿部、インサイドハーフに長谷部誠(フランクフルト)と遠藤保仁(G大阪)、右FW本田圭佑(パチューカ)、左FW大久保嘉人(川崎)、1トップ・岡崎慎司(レスター)という陣容で挑み、1-2の黒星。勝てなかったものの、内容は韓国戦から大きな改善が見られた。