前監督のヴァイッド・ハリルホジッチ氏【写真:Getty Images】
サッカー日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ前監督が、田嶋幸三・日本サッカー協会(JFA)会長とJFAを相手に、24日、東京地方裁判所に提訴した。
4月7日、ハリルホジッチ氏は電撃的に日本代表監督の契約を解除された。JFAに対し、解任理由の説明を求めてきたが、説明はなく、また記者会見などで田嶋会長が発言した「コミュニケーションの問題点」などによって名誉を傷つけられたとして提訴した。
ハリルホジッチ氏は1円の慰謝料と謝罪広告の掲載を求めている。謝罪広告の掲載場所は、毎日新聞、朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、産経新聞、JFA公式サイト。訴訟費用の負担も求めている。
被告は田嶋会長とJFAの両名になっている。ハリルホジッチ氏は監督業においてコミュニケーションを重視していた。にもかかわらず、田嶋会長が複数回にわたって「コミュニケーションの問題点」に言及し、それに対するエビデンス(証拠)の提示がないことを問題視。会長の発言によって社会的評価を低下させられたという。
5月10日、ハリルホジッチ氏側はJFAに質問状を送付。理事会の承認を得ることなく解任に至ったプロセスの妥当性などを質問したが、弁護士によれば「ほぼゼロ回答」だったという。また、「本件が日本代表に与える影響についてご理解いただきたい」という主旨の文言があったという。誠実な回答ではないと判断し、提訴に至った。
ハリルホジッチ氏は弁護士を通じて以下のコメントを発表している。
「田嶋会長の様々な発言を聞き、私としては、私の弁護士に裁判を起こすよう求めることしかできませんでした。私の名誉はもちろんですが、それだけでなく、選手たちとの3年に亘る努力やサポーターたちの思いも否定されたからです。田嶋会長には、誠実に行動するということが、スポーツの世界だけでなく、日本サッカー協会のような法人の活動の中においても求められるということをご理解いただきたいと思っています。多くの人々の思いもあります。これまでかかわってきた人々に対する一切の敬意なくなされた発言や対応を私は受け入れることができません」
果たして、裁判はどのようになるのか。編集部では引き続き本件を取材し、追って詳細をお伝えする。
(取材・文:植田路生)
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