プレミア最強コンビの牙城を崩した若者
「まだ21歳だなんてあり得ない!」−−トッテナムのマウリシオ・ポチェッティーノ監督は冗談混じりに言った。
昨年10月17日のCLグループステージ第3節、レアル・マドリーと敵地で堂々の引分け(1-1)を演じた後の発言だった。当時21歳4カ月だったダビンソン・サンチェスは、結果的にPKでネットを揺らされはしたものの、オープンプレーでは、あのクリスティアーノ・ロナウドの鎮静化に成功した。
トッテナムの新CBは、続く11月1日のリターンマッチでも、最終的にはトッテナムの今季ベストゲームとも言えるホームゲームで、カリム・ベンゼマとの個人バトル勝利を含む及第点以上の90分間。CLでの大一番2連戦を以って、イングランドのメディアは、アヤックス経由でやって来たコロンビア代表DFへの認識を改めた。
サンチェス獲得に支払われた移籍金は推定4200万ポンド(約63億円)。トッテナムが史上最高額を費やした補強だったが、国内ではさほど騒がれはしなかった。財布の紐が固かったトッテナムが、ようやく「誰かを買った」という程度に受け止められた。
既にトビー・アルデルバイレルトとヤン・フェルトンゲンがいるという、チームのCB事情もあっただろう。前シーズンをリーグ最少26失点で終えたトッテナムの正CBコンビには、「プレミア最強」の評価が与えられていたのだ。必然的にサンチェスの獲得は、「当面は控えの若手を高値で買った」と見られてさえいた。
実際には、移籍2週目に交代出場でデビューを果たし、翌3節からは左右にフェルトンゲンとアルデルバイレルトがいる3バックの中央で先発するようにもなってはいた。
だが「まだ若い」という見方は根強く、4節スウォンジー戦(0-0)などでは、力強さと度胸の良さを感じさせる守りが評価される一方で、数度のパスミスに「やはり21歳」との指摘があった。