本田&香川が不調。宇佐美にかかる期待
ガンバ黄金期の生き証人である加地亮は「西野さんはバランスに優れたチーム作りに長けている。ガンバの時はヤット(遠藤保仁=G大阪)という司令塔を据えつつも、周りに明神(智和=長野)さんやハシ(橋本英郎=東京V)、フタ(二川孝広=栃木)、武井(択也=現仲介人)のように気配りができ、自ら喜んでハードワークする選手を置いていた」と証言する。
その傾向は直近に率いたJクラブである名古屋グランパスでも同様だった。「西野さんは全体の調和を考えながらも、矢田旭(千葉)のようにボールを収めてしっかり組み立てられる選手を好んでいた。そういった印象はありました」と楢崎正剛(名古屋)も語っていた。
こうしたチーム作りを代表でも踏襲するのであれば、軸を担う司令塔タイプが一体誰になるのか。そこは大いに気になる点である。
今回のメンバー選考を見ても分かる通り、「実績」と「経験」を重視する指揮官だけに、司令塔の役割のファーストチョイスが本田か香川になる可能性は高い。ただ、香川はコンディション面で不安が拭えないし、本田にしても実戦からしばらく遠ざかっているマイナス面が少なからずある。
彼らに比べて宇佐美貴史(デュッセルドルフ)は目下、絶好調。所属クラブでも左右のサイドに真ん中、最前線と多彩なポジションをこなしていて、指揮官が思い切って抜擢したいと考える勢いもある。
「彼の魅力はフィニッシャーとしての力。シュートもいろんなバリエーションを持っているので、代表でもできるだけ相手ゴールに近いところでのプレーを期待している。ドイツで発揮できているのもそういう部分だと思う。ゲームを作るだけじゃなくて、フィニッシュに絡んでいく回数を増やして、意外性や豊富なイマジネーションを出してほしい」と西野監督はガンバ時代の秘蔵っ子への大きな期待を口にした。