溜め込んだパワーを「代表でぶつけたい」
「居残りでのシュート練習やコンディションを落とさないための走り込み。みんなが試合をやっている時に、それに合わせて自分も練習の後に走っていた。試合に出られない状況が続いていましたけど、僕自身は次の試合には出る可能性があるという意識で常にいました。そのために何が必要かといったら、その試合に出た時にパッと自分のパフォーマンスを出すこと」
浅野は腐らずに、置かれた状況の中でできることに取り組んできたという。
「コンディションの部分で足りないところを補うトレーニングは自分でもやってきていました。常に次の試合のための準備はやってこられていたので、僕自身はそんなに落ちているとは感じなかった。試合に出られたら結果を残せる自信は常にあったので、そういう意識でやっていました」
クラブで試合に出場している選手が代表に呼ばれるが、浅野のようなケースもある。ガーナ戦はテストの場になると思われ、それをクリアしなければロシア行きは果たせないだろう。それでも、今回のメンバーに名を連ねたのは、西野朗監督が浅野に『何か』を感じているからではないか。
コンディションや試合勘といった不安要素はゼロではない。だが、誰よりも悔しい思いをしてきたであろう浅野には溜め込んだパワーがある。それを大舞台で放出できれば――。
「試合に出してもらったら、自分のプレーを出せる自信はある。ゴールという結果を残せる自信もある。力は有り余っているので、それはこの代表でぶつけたいなと思います」
ジャガーの異名を持つストライカーは、ロシアのピッチを疾走することができるだろうか。
(取材・文:青木務)
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