日本代表「ビッグ3」のベストな起用法とは?
香川と岡崎の状態が6月19日のコロンビア戦までにメドが立たないと判断されれば、彼らが23人から外れるのもやむを得ないだろう。しかしながら、2人には西野監督が言う「実績」と「経験」がある。チャンピオンズリーグ(CL)常連のボルシア・ドルトムントに在籍する香川は、日常的に世界基準を体感しているし、レスターでプレミアリーグ制覇の偉業を果たした岡崎にしても同様だ。
それは、22年前のアトランタ五輪とJリーグでの経験値しか持たない西野監督にとって極めて重要な要素ではないか。本田を含めた3人にそこまで固執するのも、「ワールドカップ基準を知っている選手にチームを託すしかない」という思いがどこかにあるからだろう。確かに「ビッグ3」がトップフォームを取り戻せるのであれば、かつての輝きを見せられる可能性はゼロではない。いかにして代表でゴールを量産していた頃の感覚を取り戻すのか。本田・香川・岡崎はそこに集中するしかない。
そのためにも、彼らの起用法が大きなポイントになってくる。本田はハリルホジッチ時代のサイドではなく、8年前と同じ1トップかトップ下で出場した方が相手に脅威を与えられるし、岡崎が輝くためには2トップの方がベターだろう。香川はトップ下専門のプレーヤーだが、2シャドーの形なら原口元気や宇佐美貴史(ともにデュッセルドルフ)らと組むことは可能だろう。
このようにベストな配置と組み合わせを短期間で探り、形にしていく作業はそう簡単ではない。香川も「1ヶ月というのはなかなかタイトなスケジュール」と神妙な面持ちで語っていた。それだけ時間がない分、西野監督はいち早く戦い方を定める必要がある。
始動初日には「コンセプトといいますか、全員が共通して同じ方向を向いてチーム作りを共有できればいい」とガーナ戦のテーマを掲げたが、「ビッグ3」を最大限生かしたいなら、チーム構築作業のスピードを上げること。それを新指揮官には強く求めたい。
(取材・文:元川悦子)
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