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日本代表 7年前

98年仏大会、“急造3バック”の功罪。守備善戦も「カズ落選」で勝利遠のく【日本代表W杯の記憶】

シリーズ:日本代表W杯の記憶 text by 元川悦子 photo by Getty Images

3バック布陣が安定もたらすも…

ユーゴスラビア戦は井原の代役を斎藤が務め、中西と秋田が両ストッパーに入る形で挑んだ。最終的には左足の名手・ミハイロビッチ(トリノ前監督)の直接FK弾に沈む形になったが、守備陣は何とか粘り強さを示した。

 自身の海外移籍を目論んでいた攻撃的MF中田英寿もメディアに何も喋らず、淡々と本番へ照準を合わせていたし、山口素弘(名古屋アカデミーダイレクター)と名波浩(磐田監督)らと構成する中盤も安定していた。名良橋晃(解説者)と相馬直樹(町田監督)の両アウトサイドも躍動感を示していて、前向きな印象を残した。

 そんな彼らに比べて、不安視されたのが攻撃陣。カズに代わって「FWの柱」を位置付けられた城はプレッシャーを感じたのか、イキイキとしたプレーができず、カズの盟友であるベテラン・中山もどこか重苦しさを垣間見せていた。

「呂比須ワグナー(新潟前監督)を軸に据えるべきではないか」という声も高まったが、岡田監督は城と中山にこだわり続けた。

 そのまま時間は刻一刻と過ぎ、状態が不安視されていた井原が復帰。アルゼンチン戦はGK川口能活(相模原)、DF井原、中西、秋田、右サイド・名良橋、左サイド・相馬、中盤・山口、名波、中田、FW中山・城という当時のベストメンバーで挑むことができた。

 秋田がバティストゥータ、中西がクラウディオ・ロペスを徹底マークするという策は功を奏し、日本はいい守りから試合に入ることができた。しかし前半28分、左クロスを名波がクリアしようとしたボールがバティストゥータに渡り、右足で浮き球のシュートを打たれてしまった。

 これには川口も反応しきれずじまい。日本は後半、呂比須や平野孝(解説者)を投入して反撃に打って出たが、最後まで1点を跳ね返すことができずに0-1で黒星。惜しくも初戦を落とした。

 20日のクロアチア戦(ナント)も全く同じように一瞬のスキを突かれた。後半32分のアサノビッチのクロスを決めたのはシュケル。中西のマークが微妙に離れていたのを見逃さずに左足を振り抜いてきた。

 日本にも前半34分の中田のインターセプトから中山に絶好のチャンスボールが供給されたが、背番号9はこれを決めきれず、相手GKに当ててしまう。このシーンに象徴されるように、日本はクロアチアを上回るチャンスを作ったものの、「決定力の差」を突き付けられる形となり、2戦目でグループ敗退を強いられた。

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