昨季とは異なる色をも持つ2シャドー
「志向するサッカーが曹(貴裁)さんとちょっと似ている」
名波監督はこのように話しているが、成熟度で一日の長がある湘南に対して磐田が『らしさ』を発揮したことを誇った。
「今日はゴールに向かっていく回数の競争だという中で、人もボールもよく動き、タッチ数も少なく、我々の方が圧倒できたと思います。アグレッシブで、後ろから出てくる湘南相手に、そこも我々が圧倒できたと。ゴールシーンはなかったのですが、シュートシーンが非常にたくさん生まれて決定的な場面も何個か生まれたというのは、自信を持っていいんじゃないかなと思います」
多くのシュートシーンを生み出す上で特に光ったのが、松浦と山田の2シャドーだ。ボールに食いついてくる湘南の選手の圧力を受け流し、自分たちの推進力に変えていた。磐田のシュートシーンのほとんどに絡んでおり、2人の呼吸は抜群。何をしたいのかがわかるからこそ、互いの動き出しを見逃すことがなかった。
彼らのコンビはチームの武器となっている。第13節の横浜F・マリノス戦では、山田のラストパスを松浦が右足で巧みに合わせてネットを揺らした。翌節の柏レイソル戦でも松浦が相手2人を抜き去ると、山田が強烈なシュートを突き刺している。
松浦も山田も、一人でゴールに迫るタイプではない。しかし、彼らが息の合った連係を見せた時、チームは必ず躍動する。昨季の主力が思うように稼動できない中、磐田は8位で中断期間を迎えることになったが、この2シャドーの輝きは見逃せないポイントだ。
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