相手のお株を奪った磐田
勝ち点3を得ることはできず、敗戦を受け入れてスタジアムを後にすることとなった。しかし、残ったのは悔しさだけではない。ジュビロ磐田は、昨季とはまた違った可能性を示している。
明治安田生命J1リーグ第15節、磐田は湘南ベルマーレとの一戦に臨んだ。ロシアワールドカップ開催による中断前、最後のリーグ戦を勝利で飾るべく、サックスブルーは試合開始からフルパワーでゴールを目指した。
パスの選択肢は常に前方向で、相手の嫌がる位置に複数の選手が顔を出す。後ろからは味方が次々に追い越してくる。『ノンストップ・フットボール』を掲げる相手のお株を奪うような、積極的な攻撃を見せた。
セカンドボールを拾うとすぐさま二次攻撃を展開。いい意味で落ち着くことなく、相手に息をつかせない。主体的にプレーすることで各々が対峙するマーカーの先手を取った。
前半だけで9本のシュートを放っているが、これは今季の磐田にとって最多である。1分に山田大記とのワンツーで小川大貴がPA内に侵入したのを皮切りに、バイタルエリアに何度も侵入した。ストライカーの川又堅碁が前半だけで4本のシュートを放ったことからもわかるように、磐田が湘南を押し込んだ。
この45分間を振り返れば間違いなく磐田のゲームだった。しかし、結果的には0-1で敗戦。名波浩監督は「サッカーの怖さ」という表現を使っているが、スコアを動かせなかったことで湘南に希望を与えてしまった。