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日本代表 7年前

中島翔哉は最も「ポリバレント」な選手だった。日本代表選外、西野監督の基準への違和感

ロシアワールドカップに向けた27人の日本代表候補メンバーが発表された。驚きだったのは、今季ポルトガルで大ブレイクを遂げたFW中島翔哉の名前がなかったことである。「ポリバレントではない」というのが西野朗監督からの評価。仮に指揮官の言葉が嘘偽りない真実だったとしたら、その見方は適正だったのだろうか。(取材・文:舩木渉)

text by 舩木渉 photo by Getty Images

化学用語からサッカー用語になった「ポリバレント」

中島翔哉
中島翔哉がまさかの日本代表選外。ポルトガルで大活躍の23歳は自信を語っていたが…【写真:Getty Images】

「ポリバレント」とは特殊な言葉だ。

 もともとは英語の《polyvalent》で、これは「多価」という意味の化学用語である。「多価」とは「イオン・酸・塩基・アルコールなどの価数が二以上であること」(『大辞林』三省堂刊より)と定義されている。

 それがサッカーの世界で注目されるようになったのは、2006年から2007年まで日本代表を率いたイビチャ・オシム元監督が「複数のポジションをこなすことのできる選手」という意味で使い始めてからだろうか。

 いまでは「ポリバレントな選手」などと言えば、何となく意味が通じてしまう。そして今、この化学用語から派生した不思議な言葉が再び日本サッカー界におけるホットワードとなっている。

 日本代表の西野朗監督は、ロシアワールドカップ前の国内で最後に行われる強化試合に向けた招集メンバーを発表した18日の記者会見の中で「ポリバレント」という言葉を2度使ったと記憶している。おそらくこの「ポリバレント」は「ユーティリティ(役に立つ、使い勝手がいい)」と同義で用いられたと想像している。

 そして、「ポリバレント」はロシアワールドカップを戦う日本代表のキーワードとなった。

「(状況やバランスに応じた)対応力が間違いなく求められると思うので、固執したシステムやポジションだけではない。『ポリバレント』な能力を持った選手たちがこのリストの中にもいると思っています。そういう戦い方、戦術的な柔軟性を選手たちに持ってほしい。選手たちにも、たくさんのオプションを考えて選手にも伝えていきたい」

 西野監督はそう述べて、「ポリバレント」が選手選考の一つの基準であったことを示唆した。そして、「ポリバレントではなかった」として日本代表から漏れたのが、ヴァイッド・ハリルホジッチ体制最後の活動となった3月の欧州遠征でA代表デビューを飾り、ゴールも挙げていたFW中島翔哉だった。

 2年前のリオデジャネイロ五輪で日本代表の10番を背負った23歳のアタッカーは、今季のポルトガル1部リーグで10得点12アシストという好成績を残した。リーグ内で二桁得点と二桁アシストを同時に記録したのは、中島だけ。当然ポルトガル国内で注目を集める存在となり、ポルトやスポルティングCPといったビッグクラブからも関心を寄せられる存在になった。

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