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蘇る不死鳥、ラダメル・ファルカオ。4年前の悔しさをバネに最後の大舞台へ【W杯 日本を襲う猛獣たち】

シリーズ:W杯 日本を襲う猛獣たち text by 小川由紀子 photo by Getty Images

W杯への思いは強い

 2018年に入ってからはハムストリングの負傷などもあり、得点は減っている。加えてチーム全体としても、パリSGに7−1と大敗した第33節から3試合勝ち星なしの試合が続くなど、モナコは後半に向けてやや失速気味だ。

 現地メディアの中には、『ファルカオの心はすでにロシアなのでは』と、勘ぐっているものもある。

 彼にとって初のワールドカップ出場になるはずだった14年の前回大会は、その年の1月のフランス杯で膝の十字靭帯を損傷する大怪我を負い、涙の欠場となった。

 最後になるかもしれない今回、ファルカオがワールドカップに賭ける思いが強いのは事実だろう。

 3月の国際マッチデーでコロンビア代表がフランスと対戦した試合では、ファルカオはノーゴールだった。

 しかし得点しなくとも仕事をするのが彼のようなトップストライカー。ゴール前での決定力が恐ろしく高い彼のような選手を、フリーにしておくことなど絶対にできないのだから、たとえ黙ってそこに立っているだけだったとしても相手DFを消耗させる。

 クラブでも代表でも、今の彼は、自分自身が遮二無二ゴールを狙いにいかなくてもいいチームに身を置き、しかし自分のところにボールが来たときは、そつなく決める、というポジションにある。

 彼の得点感覚は錆び付いていないし、PKの決定力も依然として抜群だ。抜きたいときに、刀はいつも抜ける状態にあるということだ。

 昨シーズン、リーグタイトルに王手をかけ、チャンピオンズリーグ準決勝進出が決まった頃、ファルカオは「いまが自分の選手人生で一番充実している」と話していた。

 ピッチの上ではもちろん、家族と気軽に街を散歩できるモナコでの穏やかなプライベートライフも、彼の心を満たしている。

 そんな、選手として最高に充足感を感じているファルカオは、心身ともにトップコンディションでロシアに乗り込む。

『El Tigre』タイガー、の異名をとるファルカオは、昨年のモナコでの活躍で、『Phoenix』蘇る不死鳥、になったと言われた。

 この夏ロシアでフェニックスは羽ばたくだろうか。

(文:小川由紀子【フランス】)

【了】

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