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「小さすぎる」偏見を覆したメルテンス。ペレ、マラドーナらの系譜、“ナノレベル”の要求に応える能力【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

20分間のスーパースターから偽9番へ

 ラファエル・ベニテス監督の補強第一号としてナポリ入りしたメルテンスだったが、先発メンバーの座をつかめずにいた。ゴンサロ・イグアイン、ホセ・マリア・カジェホン、ラウル・アルビオルといった有望選手が続々と加入していた。素早いカットインからのシュートが十八番のメルテンスにとって、クラブ生え抜きのロレンツオ・インシーニェの存在が壁になっている。

 しかし、全く出場機会がなかったわけではなく、むしろ残り20分のスーパーサブとしての地位は確立していた。相手の足が止まり始める時間帯で登場し、キレ味抜群のドリブルで引っかき回し、決定的なプレーで得点に絡む仕事で評価を上げていた。レギュラーポジションを確保したのは2016/17シーズンにイグアインがユベントスへ移籍したのがきっかけになっている。

 エースストライカーの移籍と控えFWの相次ぐ負傷によって、主にウイングとして活躍していたメルテンスがCFに起用された。マウリツィオ・サッリ監督は以前からメルテンスの偽9番のアイデアを持っていたそうだが、実行に移すまでに1年近くかけている。満を持しての偽9番システムは驚くべき効果を示した。

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