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Jリーグ 7年前

天野純が磨き上げた「左足1本」へのこだわり。マリノスで目指す「俊さん」の継承

text by 舩木渉 photo by Getty Images

「左足1本で勝負を決める選手、それを継承していきたい」

天野純
天野純のキックフォームは中村俊輔のそれと酷似している【写真:Getty Images】

 さらに天野の口から出てくる言葉は、勝利の喜びよりも個人としての不甲斐なさばかりだった。

「まだまだですね。あのシチュエーションで(フリーキックを)決めることができないのは、めちゃくちゃ…試合に負けるよりもしかしたら悔しいですし、やっぱり今日は決めなきゃいけない試合だったので、まだまだ(俊さんの)足もとにも及ばないなという感じです」

 同じ左利きで、マリノスの下部組織で育った選手として、言葉に出すことは少なくても、天野は中村俊輔という存在を強く意識してきた。昨年の磐田戦では「キックの部分、セットプレーの部分は、直接聞くわけじゃないんですけど、練習を見ていたりとか、動画で見たりしていて、やっぱり今の自分のキックにつながる部分もある。何を持って超えるかという指標は別にないんですけど、セットプレーで俊さんのように違いを出せる選手になりたい」と決意を語っていた。

 そして今季2本目の直接フリーキックを決めたガンバ戦でも、「俊さんは左足1本で勝負を決める選手。自分もマリノスにいるので、それを継承していきたいと思っているし、その責任は自分にあると思っている。もっともっと極めたいと思います」と言葉に力を込めた。

「Jリーグを見ても、一発で(勝負を)決める選手はそう多くないと思うので、そういった特別な選手に自分はなっていきたい。どんどん勝負を決めるような選手になりたいと思います」

 追いかけ続けてきた中村俊輔の背中が近づいているのかは、おそらく本人にしかわからない「感覚」があるだろう。それでも「左足1本で勝負を決める選手」になって「俊さんを超える」という大きなゴールは、天野の原動力であり続けている。そして、トリコロールをけん引する26歳は、自分なりのアプローチで、かつての10番の壁を超えた先にある高みの景色を見据えている。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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